新人病院薬剤師のつらつら

病院薬剤師の新人が日々のニュースで気になることを書いていきます。

ナウゼリンの坐剤と錠剤

ナウゼリン

→通常、ドンペリドンとして 1 回 10mg を 1 日 3 回食前に経口投与する。

 

ナウゼリン坐剤 

→通常、ドンペリドンとして 1 回 60mg を 1 日 2 回直腸内に投与する。

 

 

 

同じドンペリドンですが、錠剤は30㎎/日、坐剤は120㎎/日とだいぶ差があります。

なぜでしょう?

 

 

血中濃度、Cmax を比べても錠剤は10~12ng/mLに対し、坐剤は20~40ng/mLとやはり高い値になっています。

 

 

販売メーカーである、協和発酵キリンのHPによると

これらの用量は、経口剤と坐剤の双方を対比した厳密な用量試験に基づいて設定された訳ではなく、各々の使用対象となる疾患の消化器症状の程度や性質を考慮して実施された臨床試験の結果に基づいて決められたものです。とのこと。

 

 

そもそも、ドンペリドンの坐剤が販売されているのは、日本とオランダのみで、データも乏しい状況です。

 

 

参考文献の「 神野大乗,JINNO-H:新薬と臨床, 36, 563 (1987) [010-003](申請時評価資料)」を見てみると、

(対象)

 抗悪性腫瘍剤投与による嘔気,嘔吐,食欲不振を主症状とし,腹部膨満,上腹部不快感,胸やけなどの消化器症状が認められた112症例。

 

(投与方法)
 坐剤は60㎎1回1個,1日2回直腸内に投与し,錠剤は10㎎1回1錠,1日3回毎食前経口投与。投与期間は7日間。

 

(結果)

・全般的改善度は坐剤群の改善率(改善以上)65.5%(36/55),錠剤群は56.1%(32/57)であったが両群に有意差は認められなかった。

・坐剤2例、錠剤2例の計4例に5件の副作用があった。各群の発生頻度(坐剤2/57、3.5%,錠剤2/58、3.4%)に有意差は認められなかった。

 

 

とのことで、確かに坐剤群と錠剤群で優位差はなかったようですが、坐剤のほうが改善の数値が高いのは、やはり、用量が多いのが影響しているのではと思ってしまう。。。。

 

 

 

ちなみに、ナウゼリン坐剤 の基剤には水溶性のマグコロールが使われており、溶融点が50~57℃と高く、体温よりも高いため、溶融に時間がかかるため、経口よりも坐剤のほうが血中濃度の上りは遅くなります。

 

マグコロールはランソプラゾールOD錠などにも含まれていて、簡易懸濁の際に注意しなくてはいけない基剤の一つですね◎